「死の曼珠沙華」(しのまんじゅさか)
密厳に 裂く灼き地獄花 叶はぬ恋の 死の曼珠沙華
訓:みつごんに さくいちしろきじごくばな かなわぬこいの しのまんじゅさか
以下は発色の設定を変えて撮ったもの。
用語解説
密厳に みつごんに
「密厳」は秘密荘厳(ひみつしょうごん)の略語で密教用語。大日如来の仏国土で生きとし生けるものが悉く生きたそのままの姿で成仏する世界。ただし、短歌では宗教的な意味を持たせていない。
裂く さく
曼珠沙華の咲き方が裂けているように見えることから「咲く」を「裂く=裂ける」と表現した。
灼ろき いちしろき
「真っ赤な」という意味の古語。
地獄花 じごくばな
曼珠沙華の別名。
叶はぬ恋の かなはぬこひの
Wikipediaによると韓国では彼岸花のことを「相思華」ともいうといい、 これは彼岸花が花と葉が同時に出ることはないから「葉は花を思い、花は葉を思う」という意味であるという。想い合っているにもかかわらずまみえることがないことから「叶わぬ恋」と表した。
死の曼珠沙華 しのまんじゅさか
元来「法華経」に記載されている方の正しくは彼岸花でない「曼珠沙華」(サンスクリット語の音写として「まんじゅさか」)を今回の被写体であると仮定して、これに対して、「死の」とわざわざ修飾語を加えることで彼岸花の死のコノテーションを付加して詠み込むという試験的な詠み方をした。
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