「昇る明王」(のぼるみゃうわう)
霞傷 癒す朝風 黒き塔 昇る明王 響く摂経
訓:かすみきず いやすあさかぜ くろきとう のぼるみょうおう ひびくしょうきょう
<用語解説>
霞傷 かすみ・きず
空殻による造語。鬼詞(空殻による短歌)にはこのようなほぼ意味をなさない造語が頻出する。このレベルになるともはや理解するのではなく感じるしかなくなる。
明王 みょう・おう
太陽を明王と表現した。通常、明王とは仏教(特に密教)の尊格で、真言陀羅尼の効力を神格化した存在。
摂経 しょう・きょう
「真実摂経(しんじつしょうきょう)」つまり日本の密教における根本経典の一つ「金剛頂経」のこと。金剛頂経には不空が著したとされる『金剛頂経義訣』によると南天竺の鉄製の仏塔から誦出したという伝説があり、そのイメージをなぞらえてこのように表現した。宗教的な意味を持たせるのではなく、厳かな雰囲気を目的としている。
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